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所 在 地 三重県伊賀市
主 要 用 途 オフィス・住居
延 床 面 積 約390㎡
規 模 地上2階
主 体 構 造 木造
竣 工 2017.11竣工
撮 影 鳥村鋼一
受 賞 日事連建築賞奨励賞
日本建築家協会優秀建築選2018
チルチンびと住宅建築賞「最優秀賞」
三重県建築賞「知事賞」
第10回建築コンクール-醸しだす建築-「佳作」
第18回甍賞「佳作」
掲 載 KJ2018.12
チルチンびと99号
アーキテクチャーフォト20.04.03掲載
施主は伊賀上野の城下町に生まれ育った公認会計士夫妻で、東京から地元に戻って新たにオフィスと住居をつくる計画である。
敷地は伊賀上野の城下町「三之町通り」というかつては武士や商人が住んでいた通りにある。今なお城下町の雰囲気を残しているものの、周辺地域は現在老朽化に伴う建替えが進んでいる。しかしそうした建物の多くは、道路側に駐車場を確保するために外壁ラインが道路から後退しているため、瓦屋根の軒先、格子、土塀によって形成されていたかつての城下町の景観が崩れつつある。私たちはこうした現状に対して街並みを守りながら現代的な生活にも適した空間をつくることをテーマに計画を進めた。
外観はおおらかな瓦屋根と杉板貼の壁という伝統的な素材を用いながら、木格子を道路に面して全面に配置することで、街並みの景観を維持しながらこれまでの城下町にはない現代的なデザインとした。さらに駐車場にも大屋根の一部に設置し、格子扉や木製扉を設けることで外壁デザインを守るように配慮した。木格子はオフィス空間のプライバシーを守る役割も果たしている。
またオフィスと住まいの快適性を考慮して、事務所と住居それぞれに中庭を設けている。職場と住居の関係を程よいものとしながら、それぞれの中庭を介して風通し良い明るい空間となることを目指した。
内部の天井材はピーラー材、壁は珪藻土、床はナラの無垢材といった暖かみがあり、経年変化によって魅力が増す自然素材を多用している。またオフィスも住まいと同じ仕様とすることでアットホームな雰囲気で仕事をできる設えとした。
打合せを通してクライアント一家の地元伊賀上野への強い愛着と景観への意識の高さを肌で感じ、歴史的な風情ある景観を守り、よりよくする建物をつくりたいと考えた。本計画が崩れつつある伊賀上野の城下町景観を取り戻すきっかけとなってほしい。
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